新技術・新素材
ウールは仕立て映え、着用快適性、防汚性そしてシワになりにくいという点で 最高のスーツ素材として永年使われてきました。
しかし日々、長距離移動を強いられるビジネスマンのシワへの要求は高く、 "もっとシワになりにくい織物の開発"は永年追い求められてきた夢でありました。
当社の長い歴史でもシワは繰り返し話題に上り、全社的組織で研究したデータが大量に蓄積されています。一昨年、再度シワを開発テーマに取り上げることになりました。
シワのメカニズムは複雑で素材による相違もありますが、衣服の着用中や保管中の外力により、
- 織物の組織点のズレ
- 糸内部の繊維のズレ
- 繊維内部の分子のズレが生じ、その状態で安定して固定化される現象
当社の一貫メーカーの強みを生かして原料、糸の撚、組織、といった織物設計から染色、整理・仕上げ方法まで様々な組み合わせで試験を繰り返してシワとの関係を解析、また国内外の文献調査を含めて徹底的にシワに関する研究を行ないました。
同時にシワを評価するにあたっては、従来のモンサント法では実際の着用結果が十分に表現できない問題があるため、新たに視覚的にシワを評価できる評価方法も考案いたしました。
一方でランベルティー社との共同研究を進める中で、風合いを損なうことなく羊毛繊維中の分子構造を安定化させるセット剤を開発、アンチリンクル加工を確立いたしました。
これら最適な織物設計ノウハウとアンチリンクル加工を融合させることで、 シワの原因である"3つのズレ"を抑制し、従来のレベルを超えた"シワになりにくい"抗シワ性と"シワから速やかに戻る"シワ回復性を兼ね備えたウール素材を開発することができました。
2002年春夏へ向けて「トラベルック®」の名称で商品展開することになりました。