TCFD提言に基づく情報開示
賛同表明
わたしたちニッケグループは、かけがえのない地球環境を次世代に引き継ぐために、環境保全を企業経営における最優先事項と位置づけ、1993年には「ニッケグループ地球環境委員会」を設置し、研究開発、製造、販売、物流ほか企業活動のすべての面において、早くから省エネルギーやCO2排出削減、廃棄物最終処分量削減などに取り組んでまいりました。
現在、気候変動影響は酷暑や集中豪雨など身近な生活への脅威となっており、また、IPCC始め関係機関からは気候変動影響の加速、深刻さ、対応の緊急性について度々警告が発せられています。ニッケグループは、その対応はもはや待ったなしの状況にあると考え、今般、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言に賛同を表明することといたしました。
“人と地球に「やさしく、あったかい」企業グループとして、わたしたちは情熱と誇りをもってチャレンジして行きます”の企業理念のもと、ニッケグループは、今後も気候変動に対する取り組みに一層注力し、また情報開示の拡充に継続的に取り組んでまいります。
環境保全活動のあゆみ
1993 | 「地球環境委員会」を設置 |
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1997 |
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1998 | ウールリサイクルシステム「エコネットワーク」を構築 |
1999 |
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2000 | 印南工場でISO14001を認証取得 |
2001 |
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2002 |
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2004 |
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2005 |
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2012 |
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2013 |
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2014 |
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2015 |
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2018 |
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2021 |
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2022 |
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2023 |
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気候変動への取組み方針
ニッケグループSDGsビジョン
「Innovations Aiming at Sustainable Growth of Nikke」
ニッケグループは、人と地球に「やさしく、あったかい」企業グループとして、情熱と誇りをもってチャレンジし、持続可能な社会の実現と社会課題の解決に向けて貢献してまいります。
環境に関する基本姿勢
<ニッケグループ環境基本理念>
ニッケグループは、企業理念のもと、「環境への配慮と高い企業倫理により社会から信頼される企業グループを指向すること」を環境基本方針としています。
とりわけ地球環境の保全を最重要の課題と捉え、豊かで住みよい社会の実現に向けた企業活動に努めるため、4つの重点施策と3つの行動指針を定めています。
そして、研究開発から製造、技術、販売、流通に至るあらゆる分野において、グループ全従業員が積極的に環境保全活動に取り組んでいきます。
ガバナンス
ニッケグループでは、グループの永続的な成長と持続可能な社会の実現を目指し、気候変動などの地球環境問題への配慮を始めとするコーポレートガバナンスコードに掲げられる重要課題(マテリアリティ)等を認識し、取組みを推進することを目的として、2022年2月に「サステナビリティ委員会」を設置しました。
地球環境問題に関しては、「サステナビリティ委員会」においてリスクと機会の分析を行い経営戦略に反映します。「サステナビリティ委員会」はコーポレート担当の取締役常務執行役員が委員長を務め、その審議結果は取締役会に適切に報告されます。
また、「ニッケグループ地球環境委員会」は、温室効果ガス削減などの地球環境問題に関する指標と目標の設定、実行のための技術の検討、および実績の計量とモニタリングを担い、「サステナビリティ委員会」と連携します。具体的な実行計画は各事業本部・事業部に設置された「部門地球環境委員会」が立案し遂行する体制となっています。
「ニッケグループ地球環境委員会」の委員長は、主として技術部門出身の取締役常務執行役員が指名されています。
組織体制図
戦略
ニッケグループでは、全ての事業分野を対象として、1.5℃シナリオを想定した移行リスク、4℃シナリオを想定した物理リスク、ならびに機会について分析を行いました。
1.5℃シナリオにおいては、エネルギーコストや資材の高騰、環境対策費用や炭素税の負担増加が想定され、製造機能を有する「衣料繊維事業本部」、「産業機材事業本部」、ならびに商業施設運営や不動産開発を行う「人とみらい開発事業本部」において相応の影響が想定されます。また、環境性能や低炭素素材の採用に対する要求が高まる結果、新たな素材の開発やサプライチェーンの再構築が必要となりコストが増大する可能性があります。
4℃シナリオにおいては、風水害の甚大化により一部の工場や商業施設が被災し、操業停止による損失、ならびに復旧コストが生じる可能性があります。また、羊毛の原産地において干ばつ等が発生した場合、その調達に支障をきたす可能性があります。
一方で、機会の面では、全国に保有する太陽光発電施設はすでにグリーンエネルギー需要の高まりに貢献していますが、将来的には自家使用により自社のエネルギーコストの低減とカーボンオフセットに活用することも検討してまいります。また、低環境負荷型オフィスビルの開発やウール素材のサーキュラーエコノミーの追求など、お客さまに選ばれ社会に貢献できるサービスと製品を提供することで、ニッケグループは持続的で着実な成長を実現できるものと考えています。
分類 | 実現時期 | 影響 | 説明 | 現在の取り組み | |
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移⾏ | 政策・法規制・技術 | 短中期 | 大 | 工場やSCなど大規模商業施設における直接エネルギーコストの増大 | 各施設・設備のエネルギー効率の最適化、太陽光発電による創エネ、再生可能エネルギーの導入 |
中長期 | 中~大 | 化⽯エネルギーを使⽤する施設・設備の価値低下 環境対応投資や研究開発費増大の可能性 |
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市場・評判 | 短中期 | 中~大 | 消費者の低炭素化への期待に対応できない場合、企業ブランドが毀損し競争力が低下する可能性 原材料コストの高騰 |
消費者の購買行動の的確な把握 環境配慮商品の積極的な開発 原材料メーカーや業界動向のモニタリング |
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中長期 | 中~大 | 主にBtoB事業において調達元・販売先からのCO2排出量削減要請を受ける可能性 環境対応投資や研究開発費増大の可能性 |
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物理 | 急性 | 短中長期 | 大 | 激甚な風水害による一部施設・設備ならびに在庫の被災の可能性 | BCP体制の強化、ならびにリスク管理委員会での体制整備状況のモニタリング 研究開発施設の改築・移設 |
中長期 | 大 | 酷暑による屋外施設の集客力低下 電力ひっ迫による商業施設・工場の稼働停止 |
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慢性 | 中長期 | 中 | 羊毛の産出量減、品質低下 工場での労働環境、在庫品質維持コスト増 介護・保育施設での利用者の体調管理負担増 |
原材料調達の多様化 地域医療機関との連携強化、介護・保育施設の設備改善 |
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機会 | 資源・エネルギー源 | 中期 | 中~大 | 太陽光発電施設の活用によるエネルギーコストの低減とカーボンオフセット 製品の再生利用によるコストの削減 生産技術の革新によるCO2削減 |
現在売電を行っている太陽光発電施設について将来的な自家使用を検討 サーキュラーエコノミーへの取組推進 環境配慮型の革新紡績糸”Breeza®”生産設備導入拡大 |
製品・サービス・市場 | 中期 | 中~大 | 低炭素ビルディング開発による競争力向上 低環境負荷製品への選好の強まりにより、天然素材であるウールそのものや当社の高機能製品のブランド力・競争力が向上する可能性 製造工程でのCO2排出量削減による顧客評価の向上 |
東京ビル再開発において低炭素設計を採用 ごみ焼却施設などの用途向け高機能フィルターバグ「ADMIREX®」の中国での生産能力増強、ならびにグローバル市場への販売拡大 サーキュラーエコノミーへの取組推進 環境配慮型の革新紡績糸”Breeza®”生産設備導入拡大 「ZQ認証(※)」原料の調達拡大 (※)羊毛原料について「動物愛護」「環境配慮」「作業の安全性」「雇用環境」等の厳格な基準を第三者機関が監査した上で認証する制度 |
リスク管理
ニッケグループは、代表取締役社長直下に「グループリスク管理委員会」を設置し、当社グループの認識するリスクを特定して、リスクの防止および損失の極小化を図るためのリスク管理体制を強化しています。
当社監査役および内部監査部門の監査や年2回開催の「グループリスク管理委員会」を通じて、グループ全体の包括的なリスクの認識と共有を図り、リスク管理体制について定期的なレビューを行っています。また、各事業部およびグループ会社においても随時、リスク管理委員会を開催し、事業毎の固有のリスクの把握を図っています。
加えて、気候関連リスクに関しては、2022年2月に設置した「サステナビリティ委員会」においてリスクと機会の特定と評価を開始し、特定された短期、中長期リスクの管理に係わる行動計画の策定と見直し、実施状況のモニタリングを「ニッケグループ地球環境委員会」と連携して行っております。
ニッケグループリスク管理委員会体制
指標と目標
ニッケグループは、スコープ1,2のCO2排出量を2018年度を基準年として2030年度に50%の削減を目指します。また、2050年度のカーボンニュートラル実現に向け、工場生産設備の更新等によるエネルギー使用量の削減、既存太陽光発電設備の活用ならびに新設、グリーンエネルギーの調達拡大などあらゆる選択肢を検討してまいります。
これらの取り組みに関しては、「ニッケグループ地球環境委員会」において、基本方針・具体的目標の設定、活動および運用、報告および点検、改善方針策定のPDCAサイクルを繰り返すことで推進します。
環境保全活動推進フロー
CO2連結排出量実績 [スコープ1、2]
• 産業機材事業は、株式会社フジコーを連結子会社とし、2022年度から連結排出量の集計対象としたため、基準年対比で増加しました。
• 人とみらい開発事業は、事業再編に伴う店舗数の減から基準年対比で減少しました。
• グループ全体では、電力会社の排出係数増加はあるものの、省エネ・合理化投資等によるエネルギー使用量の減少や再エネ電力購入などにより着実に減少しております。引き続き、省エネ設備への更新・改善投資や太陽光発電設備の活用に取り組むことで着実に排出量を削減し、2030年度における50%削減を目指し取り組んでまいります。
(単位:t-CO2/年) | 2018年度(基準年度※) | 2023年度実績 |
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衣料繊維事業 | 33,593 | 17,650 |
産業機材事業 | 9,544 | 10,547 |
人とみらい開発事業 | 11,100 | 7,387 |
生活流通事業 | 441 | 365 |
その他 | 20 | 138 |
合計 | 54,698 | 36,087 |
[増減率]-34.0%
※連結全社全事業所を対象にスコープ1,2の集計を開始した2018年度を基準年度と定めています。
スコープ3 CO2排出量実績 [ニッケ単体]
・2022年度から、ニッケ単体の主要事業所(製造事業所、ショッピングセンター、賃貸施設等)を対象とし、スコープ3への影響が大きいと考える5つのカテゴリーで実績の集計を開始しました。
・引き続き、対象とする事業所ならびにカテゴリーの拡大に取り組んでまいります。
(単位:t-CO2/年) | 2023年度実績 |
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合計(※) | 40,154 |
※ カテゴリー1(購入品・サービス)、2(資本財)、3(エネルギー活動)、4(輸送・配送)、5(廃棄物)、13(リース資産)を集計しております。
スコープ1:事業者自らによる温室効果ガスの直接排出(燃料の燃焼、工業プロセス)
スコープ2:他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出
スコープ3:スコープ1、スコープ2以外の間接排出(事業者の活動に関連する他社の排出)