ウールについて
ウールの歴史をたどる 日本編
日本人と羊の関わりは?
日本人にとって羊は、あまりなじみのある動物とはいえません。これは湿度の高い日本の気候が羊の牧畜には向いていないためです。しかし、古来日本は羊とのつきあいは古く、十二支のなかに登場したり、江戸時代の火消しの羽織に使われたりと意外なところで関わりがありました。
英国の産業革命が、近代羊毛工業の基礎を確立。
日本の羊毛工業の歴史は、まだようやく100年に過ぎません。江戸時代までは南蛮貿易に頼って羊毛を入手するしかなく、江戸末期の寛政二年(1800年)に、羊の家畜化などの試みがなされましたが、成功には至りませんでした。
毛織物が国内で生産されたのは、明治に入ってから。鎖国がとかれ、外国製品の輸入が増加。特にヨーロッパからの官制・軍制の導入によって洋服の需要が高まり、羊毛製品の需要を拡大させました。
明治8年(1875年)、当時の内務卿・大久保利通が中心となり、下総に羊の大牧場を開設しますが失敗。
しかし、明治12年(1879年)、日本で最初の近代的毛織物工場・官営の南千住製絨所が開設されました。この工場は昭和20年まで日本の羊毛工業の発展に多大な貢献をしました。